艦隊これくしょんより、睦月・如月・弥生×卯月くすぐり小説です!

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「だ……騙されたぴょおおぉぉぉんっ!!」

 ヒトサンマルマル――午後一時。
 ある鎮守府の一室にて、駆逐艦娘――睦月型四番艦「卯月」の叫び声が響き渡った。

「……卯月の言えたことじゃない」

 そんな卯月の興奮した様子とは対照的に、同じく睦月型三番艦の「弥生」は呆れたような表情だ。

「うんうん」

 顎の下に手を当て、目を細めながら二度頷いているのは睦月型一番艦の「睦月」だ。やや外跳ねした短めの髪が、その動きに連動して揺れた。

「そうよねぇ」

 おっとりとした声のトーンで、やや大人びた印象の睦月型二番艦「如月」も賛同する。

「うぅぅぅぅぅ……! 睦月ぃ、如月ぃ、弥生ぃぃ……どうして、どうしてこんなことするぴょん! うーちゃんが何かしたぁ!?」

 いや、正しくは座らされていると形容するべきか。卯月の胴体にはロープが巻かれていた。
 椅子をがたがたと揺らしたり脚をばたばたしたりして不満を訴えているが、彼女の眼前にいる弥生はそれを見てため息をついた。

「……本当にわからない?」

 胸の前で腕を組み、問いかけるような言い方をする弥生。垂れさがったもみあげが、半袖から伸びた腕に乗る。卯月とお揃いの紺色のセーラー服だ。変化が少ない表情がいつもより威圧感に溢れているように感じ、萎縮した卯月は大人しくなる。
 そして卯月は考え始めた、現在起こっていることの原因や発端を。

「う、えーっと……」

 そもそもの始まりは「大事な話があるから指定した場所へ来るように」と、昼食を摂っていた卯月に向けたアナウンスがあったことだ。
 練度も十分、旧式の駆逐艦でありながら幾多の作戦で結果を残していた卯月は、鎮守府における中心戦力の一人と言ってもいい。そして高い練度を持つ艦娘同志の間で話題となっている、いわゆる「ケッコン」を意識する一人でもある彼女が、その呼びかけに対して思うものが無いわけでなく。

 指定された場所は人通りの少ないところにある、今はこれといって使われていない小さな部屋だった。
 ムードに欠ける場所ではあるが、人気を避けてわざわざ大事なと付けるだけあって、遂にこの時が来たかと胸を躍らせスキップ交じりに馳せ参じた卯月は、入室してすぐに意気揚々と軍服姿の人物がいるであろう場所へ敬礼した。
 ところが、思い描いていた人物の姿はなかった。おかしいなと思っていたところで背後から誰かに羽交い締めにされた。その正体が弥生であると気付いた頃には椅子に腰かけさせられていて、あっという間に残りの二人によってロープが巻かれた。突然の出来事に混乱した卯月は、思わず最初のような叫びを発したのである。

「うーちゃんが強くてかわいい……から?」

「…………」

「な、なんちゃって~、冗談だから怒らないで欲しいぴょん……」

「……別に。怒ってない」

 そうは言うものの、卯月にとっては怒っているようにしか見えない。冗談を言ってみたものの彼女自身はどうしてこのような目に遭っているのかが分からないようで、うんうん唸りながら頭を悩ませている。

「ていうかこれ、いったいなんなのぉ? まるでうーちゃんが悪いことしたみたいなんだけどぉ……」

 答えらしい答えが思い付かず、考えるのを止めてぐいぐいとロープを手で引っ張りながら卯月はばつの悪そうな顔を作る。
 二回三回と椅子の背もたれごと卯月の体を巻いているそれは、きつくはないが簡単には解くことのできない程度に拘束する働きをしている。

「苦しくはないけどぉ、そろそろ外して欲しいぴょ~ん……」

 活発で普段から元気あふれる卯月は、ずっと同じ姿勢を保つということに慣れていない。落ち着かないのか脚をぶらぶらしながら、三人に対してロープを外すように要求をする。

 だが、

「……駄目」

「へ? だめって、どういうこと……ぴょん?」

 その要求を、首を左右に振った弥生がばっさりと切り捨てた。

「んふふー、それは、ねぇ……」

 三人で並んで立っているうちの最年長――ネームシップたる睦月がゆっくりと卯月に歩み寄る。

「……?」

 すぐ目の前で止まる……かと思えばゆっくりと回り込んでいく。その軌跡を目で追っていこうとするが途中で首を動かせなくなり見失う。

「むつ……いぃっ!?」

 名前を呼ぼうとした瞬間、両わき腹へと何かが包み込むようにあてがわれた卯月の体が小さく跳ねた。

「な、あっ!? ふぁ、はっあはっははぁっ!?」

 そこから伝わるこそばゆい刺激により、不意を突かれたこともあわせて卯月の口元が緩みだす。

「いひひ~、こちょこちょこちょこちょ~」

「ひはっ、はっ! はぐ、くっ、くうぅ……! なっ、ぃひひっ! きぁっはっはははっ! なっっなに、ぴょおぉんっ!?」

 背もたれ側から伸びた睦月の両手が脇腹を揉む。やや薄くそれでいて程良く柔らかい皮膚をグニグニと練るように、十本の指が押し込んではムズムズとした刺激を与えていたのである。
 何がおかしいというわけでもないのに口からは反射的に笑い声がこぼれ始め、その度に卯月の長い髪が揺れた。

「んんっ、んっ、ぁあっはははっ! くすぐ……っは、ひゃひゃ! ひゃ、は、く、ふふ……むひゅふふふ……!」

 くすぐったいという衝動ごと声を抑え込もうと、口を手のひらで塞ごうとする卯月。その際に彼女はわき腹を守ろうと、そこに何度も肘や二の腕をぶつける。しかし、
睦月にとってそれは大した妨害にもなっていないようだ。指の動きは緩まることなく、卯月へくすぐったさを送り込み続けている。

「っふっ、やっははは……! どうし、ぴょっ、くふふっ……!」 

 なぜ自分がくすぐられなければならないのか。
 できる範囲で体を縮こませ、足や肩を小さく震わせながら、正面に立つ如月と弥生に対して疑問を目で訴えた。

「うーん……姉としての務め、かしらね?」

 普段から、仕掛ける側として何度も行ってきたくすぐり行為。その対象は同じ駆逐艦に始まり、軽巡洋艦、重巡洋艦……いつだったか卯月は「全艦種コンプリートしたぴょん!」と自慢げに語っていた。被害を受けた中にはそれほど気にしていない者や好意的に受け止めた者もいるにはいるが、大多数は慌てるか憤慨するかだった。

「……やり返した、だけ」

 駆逐艦ということは姉妹艦たる睦月型全員も例外ではなく。睦月・如月・弥生の三人もかつての被害者であった。

「だから睦月達は、卯月ちゃんがきちんと反省するまで全力でくすぐるんだにゃー!」

 かわいい妹分の悪戯であったとしても無条件で許せるわけでもなく、やられっぱなしがシャクであるというのは艦娘の戦闘本能に起因するものであるのか、とにかく彼女らは卯月に反省を促す目的を主にしてくすぐり返してやろうと計画したのである。

「や、やっぱりぃいっひ! きひひ……! うーちゃ、騙さっあ、ぁああっははははっ!?」

 概ねのことを卯月が把握し、説明が終わると同時に睦月の指が更に強く食らいついた。

「それじゃあ、はりきっていきましょー」

「はあっ、あぁっ!? いきなっはっはっはははははあぁぁ!! ちょまっひゃっひゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!? むつ、ぃぃいいいっ! きゅうっ、つよっふふふふふあぁぁぁ!!」

 これまでろっ骨付近を刺激していた手は側面に移動し、腰のやや上部にその場所をおく。手のひらの手首側――やや盛り上がった丘で卯月の柔らかい皮膚を押し上げ、爪を引っ掛けるようにしてくすぐりだす。
 腋のやや下に位置するこの部位は神経が特に集中しており、圧迫されたことでそれは敏感さに一役を買っている。触れられている箇所とくすぐり方の変化に対応できず、卯月は先ほどよりも大きな声で激しく笑ってしまう。

「そこぁああああぁぁっ! そこきゅすぐっはっはっははぁぁぁぁぁ!! やっやめっやへっへひへへへぇぇぇぇぇ!!」

 反応の大きさを見るや睦月は手を固定し、何度も何度も爪を立ててはくすぐる。そして時々指の腹を使い前後で押し込むような責めも展開し、慣れを作らせないようにしている。
 後方からの責めは行っている者の顔や様子が見えず予測がつけにくい。そのため、くすぐり方を変えられるたび卯月は不意を突かれたような反応を示すばかりだ。

「わきばはっはぁぁぁああああっ! そこばっかりしにゃっははははははははっ! もっっもぉっ、うっひゅひゅふふふふふふっ! せめっ、べつにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 睦月の指が踊り始めてから二分ほど経った。口を塞ぐこともままならず、ただひたすらに嬌声を吐き出し続ける卯月は脇腹責めに何度も中止を訴えては無言の却下をくだされている。
 卯月の自由な脚は何度も空を蹴り、丈の短いスカートが乱れるように跳ねてフリルが舞う。
 正面に立つ二人の目にはたびたび縞模様の布地が映るが、同性であり姉妹のような存在でもある二人にとってそれはこれといって特別な意味を成さない。

 セーラー服を巻きこんだ揉み込みは上着の裾を上げては下げる。それに際して卯月の真っ白いお腹とその中央の一点……縦長で綺麗な形をしたおへそが顔を覗かせる。
 それを見てか、時間がほどほどに経ったからか、如月は微笑みながらゆっくりと歩き出した。それに追従するように弥生も続く。

「それじゃあそろそろ、いこうかしら?」

 まずは卯月の正面……から少し横。蹴られてしまわないようにそこへ腰を下ろすと、如月はセーラー服の裾から両手を滑り込ませた。

「っふあぁ!? きしゃらひっひひひひははははっ!! まっ、どっどこに手をぉぉぉぉぉぉ!?」

 その手は卯月の腹部や腰をさする。指を揃えた手のひら全体が、まるでハンドクリーム類を塗り広げるような動きで円を描く。

「ふふ、ずーっと触っていたいかも」

 幼い外見に見合った柔らかさと弾力、そして張りのある卯月の柔肌。そこへの触れ方は人一倍美容に気を遣っている如月にとっては慣れたもので、丁重に撫でては感触を楽しんでいる。触り心地がよくすべすべなお腹は、卯月の笑い声に呼応するように振動している。
 しかし、それは睦月の脇腹責めによる功績が殆どを占めていた。
 如月の触れ方は、それ単体であるならばゾワゾワ・ゾクゾクするといった感想が出る部類で愛撫ともとれる微弱なもの。笑いの衝動を大きくする働きは見せていない。
 何物にも代えがたいこの感触をずっと味わっていたいと考えているのだが、あくまでも目的は反省を促すためのくすぐりだということを彼女は忘れていない。

「ひゃひゃひゃはっ、はっ……きゃああああっ!? ああぁぁっ、はっ、ぁはははははははっ!?」

「……なーんちゃって」

 卯月の反応がさらに激しくなった。

「きゃはっ! はっっあ、あああああぁぁぁぁぁっ!! ふえっふえはっははははははっ!? きひゃらひゃっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃああぁぁぁぁ!!」

 それゆえ本来の目的を果たすべく、如月が手の動きに変化を加えたのだ。感触を楽しむという根幹を完全には崩さないよう腰の両サイドを揉む動きと、時々お腹に場所を戻しては爪を立て思いっきり白い肌に指を沈み込ませるといった二種類の責めを施し翻弄する。
 本格的なくすぐりに参加する手が二本から四本に増えて伝わる刺激の大きさも倍加……そんな単純計算で済む話ではないことを、卯月は身を持って感じていた。

「んふあぁあっははっははははははははっ!! やひゃあぁぁぁぁぁぁ!! もうやだやはやひゃっはぁぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 これまで自覚する機会の無かった自身の敏感さ、一カ所を重点的に責め立てる睦月の指、場所を変え性質を変える如月の巧みな指遣い。これらが合わさって化学反応ともいえる相乗効果を引き起こし、くすぐったさを何乗にも増していく。
 いくら艦娘……歴戦の戦士であったとしても、くすぐりへの耐性は鍛えることはできない。いつまで経っても終わらない責めに、卯月は嫌がるように首を左右に振り続けどこを押さえればいいのか分からず腕を彷徨わせるしかない。

「はあっ! あっひひぁあぁぁああああっ! やよっっやよひっひひひひぃぃぃぃぃぃ!! たひゅけへっへへへへへへぇぇぇぇぇ!! へへへへはははははっ、はんへひいぃぃっ! うーひゃんはんへひひはからああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁ!!」

 もう限界だった。
 もはや言葉らしい言葉を発することも正常な思考を働かすこともままならなくなり、これ以上の苦しみから逃れたい一心で視界の隅にいる三番艦――弥生に対して、許しを乞うような叫びが卯月の口から自然と吐きだされた。
 年功序列ゆえかを確かめる術も心の余裕もないが、弥生は順番を待つようにして卯月のすぐ斜め前で控えていた。

「……本当に?」

 あくまでも無表情を崩さない弥生。

「ほんっ、ひっ、ひひひひひはははははははあぁぁ!! ほんとっ、はんひぇっ、ひはっはははははははははははっ! だひゃりゃあああぁぁぁぁぁ!!」

 痛々しいほどの叫び声を上げながら、弥生の確認する様な言葉に全力で答える。必死に必死に、何度も首を縦に振って。

「……じゃあ、万歳」

「へばっひゃっひゃっひゃひゃひゃひゃひゃ!? ばんっ、ばんじゃひっへへへへぇぇぇ!?」

「……今から腕を上げて。いいって言うまで、下げないで」

「そんんんはっはははははははは!! なんっへ、なんでそんなぁぁぁぁ!!」

「……反省してるならできるはず」

 突然の指示に目を白黒させながら笑い悶えるしかない卯月にとっては、腕を上げることが反省とどう結び付くのかがさっぱり読み取れなかった。
 腕を上げたくてもくすぐったさでそれどころではなく、全身に力が入らないため反射的に暴れることはできても意識的に腕を上げ続けることは不可能なようにも思えた。
 そして万歳の体勢を取るということは、現在責められている箇所のどこも守ることができず、一般的に弱い部位として知られる腋もノーガードにすることと同義だ。これまで何人もの艦娘をくすぐってきた卯月がそうしてしまうことへの恐怖を知らないはずもなく。
 自分の腋がどれほど敏感であるかは定かではないにしても、それを確かめたいという気概は一切持ち合わせていない。

「……できないの?」

「できっ、いいぃぃぃいいっひひひひひ!! むり、だかあぁぁっはははははははははっ!」

「……やっぱり、嘘ついた」

「ちがっ、うそじゃなっはははぁぁぁぁぁぁぁ!! はひっひ……ひひひひひひっ!! むりだってぇぇぇぇ!!」

 上げられないのか、それとも上げたくないのか。あるいはその両方か。
 頭の中がしっちゃかめっちゃかになってしまっているため、言葉を発した卯月自身でも何を理由に弥生の指示を拒否したのかがわからない。彼女はとにかく、睦月や如月が触れてきている箇所を守ろうと一心不乱に腕を暴れさせている。まるで子供が駄々をこねているような動作だ。

「…………」

 はぁ、と弥生は思わずため息を吐いた。

「あら、弥生ってば怒ってる?」

「ほぇ? 怒っちゃったの弥生ちゃん?」

「……怒って、ない。それより卯月は反省する気がないみたいだから……」

 と、言うと弥生が卯月の前にしゃがみこんだ。そして、伸びきった状態で暴れている脚の片方を抱えるようにして持った。

「わきゃはっははははあぁぁぁぁ!! おにゃかあぁっはははははははは!! くるひひひっひひはははははっ!?」

 がくがくがく。妙に脚が動かず、振っても胴体が揺れるだけの状態に違和感を覚えた卯月に嫌な予感がよぎった。
 彼女が慌てて視線をやや下方向に下げてみると、

「…………」

 背中を向けるようにしている弥生が、ブーツの片方を脱がせ始めていた。

「なっ!? まっ、まっあぁぁあっひゃっひゃひゃっ!」

 まさかの可能性。ふくらはぎ以下が妙な開放感に包まれると共に、現実のものとして卯月の目に色濃く映り始めていた。

「そこはっ、これいじょうわまっはははぁぁあああああっ!!」

 すらっとした足が露わになり、その先端である足の裏に弥生が遠慮なく指を這わすと、

「や、やよっ、まっ……っふひいぃあ゛あぁぁあああぁぁぁっっ!?」

 一瞬、電撃でも浴びせられたのではないかと思うほどの衝撃が卯月の全身を襲った。人差し指が土踏まずをそっと撫でただけであるにも関わらず、足首が跳ね今日一番大きな悲鳴をあげた。

「ぃひゃあぁっ! はぁっ、あ゛にゃああぁぁぁぁぁぁ! あしっあしがっひゃっひゃっはっはっはははははぁぁぁぁぁっ!!」

 足の裏は天井に向くのではないかと思えるほど激しく反り返ったり、すぐに指先が丸まっては地面の方へ向いたりを繰り返す。だが弥生の手はきっちりと土踏まずに食らい付いては離れない。五本の細い指がこちょこちょとくすぐるたびに卯月が大暴れする。抱えられていない右足は地団太を踏んでいるか空気を蹴飛ばすばかりだ。

「よよよよっ、これは睦月達も負けてられないよぉぉ~!」

「そうね、じゃあそろそろ本気でやっちゃうわよ?」

 弥生の責めが効果的であるのを見て、二人の指も活気づく。妹分には負けていられないという一番艦、二番艦の意識の表れか。

「んぁっ、ふぁあ゛っあっあ゛あぁぁぁぁぁぁぁっっ!! やっっあ! あぁっあ゛ああぁぁぁぁぁっ!!」

 脇腹を責めていた睦月の指はその上部分――腋へと移動し、如月の方はおへそに指を差し込んでかき混ぜるようにして責め始めた。細い指が窪みに触れると卯月の体は激しく痙攣する。外気に晒されることの少ないこれらの箇所はくすぐりに対しての防御を持たず、刺激をそのままどころか何倍にも増幅して脳へと伝達してしまう。
 まるで体全体をぐるぐるとスプーンで混ぜられているかのようだ。ただでさえ足の裏がくすぐったくてどうしようもないのに加わった責めの変化に対応できるはずもなく、苦しそうに笑い叫ぶしかない彼女ができる抵抗は体全体を使っての抗議だけであった。

「……っ、痛っ。卯月、ちょっと……当たって……」

「もうっ、もうくしゅぎゅったいのゎああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! ゆるひへっへへへへへへへへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 その際に、無我夢中で暴れる卯月の抱えられていない脚が弥生の側頭部に当たり始める。責めから逃れたくて、くすぐったくてもうどうしようもなくての不意の行動だ。

「……うづ、き。いい加減に……!」

 痛いからといって責めを緩めてやるわけにもいかず、弥生はさらに指の速度を速めた。ぷっくりとした拇指球へと爪が食い込み、がりがりと削るように刺激を与え続ける。
 それに応じるように卯月の暴れ具合も強まり、腰を落とした体勢の弥生に何度も膝がぶつかっている。

「……だか、ら……暴れるの、やめ……っああぁぁ!?」

――ごすっ……!

「あっ」

「あっ」

 ついには、擬音が聞こえてしまいそうなほどの衝撃が弥生の脳天に突き刺さった。弥生の悲鳴が響くと、睦月・如月の両名も思わず驚きの声を漏らして手を止める。

「はぁ……はぁ……」

 激しい息遣いの卯月を除いて、まるで時が止まってしまったかのようにみんな固まってしまっていた。

「あ、れ……?」

 虚ろな目で、感触の残る膝部を確認する卯月。すると、彼女の目には仰向けになって倒れている弥生の姿が映っていた。

「ど、どうしちゃった……ぴょん?」

 どうしてこのようなことになっていたのかがわからず卯月は首を傾げた。きょろきょろして睦月や如月の様子も窺うが、二人ともあんぐりしていた。

「…………ぅ」

 数十秒ほど続いた沈黙を破るように、小さな声を漏らした弥生がよろよろと体を起こし始めた。

「や、弥生。大丈夫……ぴょん?」

 罪悪感を抱いた卯月が、おずおずと様子を確かめている。といっても縛られているので、傍に駆け寄ったり打った部分をさすることもできないのだが。

「…………」

「え、ええっとぉ……?」

「…………」

「ぷ、ぷっぷくぷー……なんちゃって」

「…………」

 場の雰囲気を変えようと、卯月は両腕を上げ兎の真似ごとをしてみた。だが、くるりと振り返った弥生はじーっと卯月の顔を見つめているだけだった。その様子が逆に卯月にとっては不気味に映る。そしてその不気味さを更に高めていたのは、

「ふふ、ふふふふ……」

 突然の、声をあげての微笑だった。

「やよ、い……?」

「……大丈夫。怒って、ないよ?」

 付き合いの長い卯月でさえもなかなか目にすることのない弥生の笑顔。しかしそれは子供のするような屈託のないそれでも、先程まで卯月が強制的にさせられていたものとも違う種類のそれだった。
 怒ってないと本人は言うがどう見てもそうには思えず、卯月は思わず「ひぃっ」という声をあげてしまった。

「ぜ、ぜったいおこっ……っひあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

「……万歳、してる。じゃあ、そのままで……卯月の名前にちなんで、あと四時間」

「よじかはああぁぁぁぁっ!? そんなのっ、むりでぇえああぁぁはっ! はっはははははははははははは!!」

「……二人も、それでいい?」

 再び、足の裏をこちょこちょとくすぐり始めた弥生の背に浮かぶ威圧感。それに若干圧倒されながらも、睦月・如月はともに同意し責めを再開する。

「よくなああぁああああああああああっ!! よくないかひゃっひゃっひゃひゃひゃひゃ!! たひゅけへへぇぇぇぇぇぇっ、しれいかああぁんんんんんっ!!」

 腋から脇腹へかけて元気にはしゃぐ睦月の指、腹部を中心に艶めかしく動く如月の指、まるで機械のように無慈悲で正確に敏感な箇所を責め続ける弥生の指。
 これらによるくすぐりはまだまだ始まったばかり。
 助けを求めながら永遠にも思える時間……それすらも数える余裕もなく、ただただ卯月は狭い室内で笑い声を響かせ続けることしかできなかった。

 おわり。


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【あとがき】

2015年唯一投稿できた作品です。リアル事情が忙しくなったり、急にお絵描きに挑戦してみたり、スランプめいた何かによって急に前ほどの勢いで書けなくなったり。とにかく苦しい一年でした。

睦月型でくすぐりものを書いてみたいな~、と思いつつも全員を出すのは無理!無理ぃ!なので四人だけになりました。本当はこの作品の前日譚として、卯月がスニーキングしながら睦月型全員をくすぐる小話が……!

ごめんなさい、嘘です。今思いつきました。

さて本題。この作品は、扉絵をとある方に描いていただきつつ本文を完成させていき、お互いの完成をもってお披露目という、いわゆる合作めいた形式で製作していたのですが……思いのほか私が時間がかかり過ぎて、気がつけば先方の絵柄が変わりつつある時期になっていました。
その節は、たいへんご迷惑をおかけしました。なお、その方とは今でも仲良くさせていただいております。 

それにしても、睦月型というのは皆さん天使のようですよね。沢山いて個性豊かであるにも関わらず、演じておられるのは日高里菜さんただ一人という凄さ。いやはやあっぱれです。劇場版艦これでは日高さんの熱演もあり、スクリーンの前で私はひたすらに泣いておりました。 

艦これのブラウザゲームを初めて間も無い頃、皐月のクリックボイスに心打たれたくすぐり好きの方は多いのではないでしょうか!? そしてくすぐりを得意分野とする卯月が実装されると……そりゃもう二人の絡みを妄想しないような人が居ようか? いや、居まいっ!(反語)

ちなみに私が睦月型で一番好きなのは、黒髪ロングな頑張り屋さん、太ももの眩しい三日月ちゃんでございます。